収容所に向う途中で

灰色の地平線のかなたに

灰色の地平線のかなたに

この本。リトアニアで普通に暮していた一家が、第2次世界大戦初期に、反体制的だとして、ソ連の収容所に送られ、その中で、主人公のリナは、絵を描く思いを抱きながら、懸命に耐え、運命に戦う物語です。この本のスタートでソ連に向けて、貨物列車に押し込められて出発するんですね。みんな不安で、乱暴な扱いをされ、呆然としている。その中で、図書館員が、こどもたちに「おはなし」をしてあげるんです。うわぁ、これからどうなるかわからなくて、大人もパニックの時に、おはなしなんかしてあげられるかなぁ〜と、この方を尊敬してしまいました。しかも第二次世界大戦初頭でしょ。ちゃんと児童サービスしてたんだ。リトアニア偉い!! と思いました。
ちなみに、この物語で、リナのお母さんがすごい人なんです。持っているものを分け、周囲を気遣い、ロシア人に対しても、毅然としつつも人間的な理解を示す。結果を見ていると、この利己的でないふるまいが、結局リナたちを守っているんですね。極限だから自分を守るだけで精一杯! そんな気がするけれど、目先のことだけでズルく立ち回ろうとして、意外に失敗するって真理かもしれません。