ブックトーク『わたしはだれ?』やっとまとまりました。これでいってみます!

導入『フォックス氏』ストリーテリング。
さて、すてきな男性だと思っていたのに、実は恐ろしい殺人鬼! 『フォックス氏』のような例は、極端だとしても、なにかの時に「この人って、こんな性格だったんだ!」とびっくりすることってありますよね。他の人だけではなく、自分の事でも「私にも、こんなことができるんだ」という経験はありませんか?

ようこそ、おまけの時間に (偕成社の創作)

ようこそ、おまけの時間に (偕成社の創作)

『ようこそ、おまけの時間に』の松本賢くんは、おまけの時間の中で、新しい自分を発見します。きっかけは12時のサイレンでした。お昼の12時ってサイレンなりますよね。賢くんは、サイレンと同時に教室で居眠りをしてしまったのです。そして、不思議な夢をみました。(P13「サイレンの音が〜」からP16授業をうけていた」まで、本文。)この不思議な体験は、次の日も続きました。茨の中なんて、気分悪いですから、賢は、筆箱にカッターを入れていき。カッターで自分の周りの茨を切りました。賢は、その夢の世界が、元の教室とそっくりなことに気付きます。クラスメートは、みんな茨にからみつかれ、眠っているのです。隣の席の、気の強い明子も眠っています。(P37「まるでグリムの」)そして、茨を切った次の日、なんと茨を切った明子が目をさましたのです。(P44「ということは、茨を切ると目が〜P48きざの決定版」)。けれども、目が覚めると、現実の明子は、つんとします。次の日から、賢と明子は、まわりのクラスメートの茨を切り起こし始めました。この夢の時間が「おまけの時間」です。起こしたクラスメートたちは、やっぱり現実のクラスメートとは、微妙に性格が違います。ところが、ある日、賢は大変なことに気づいてしまいました! 「おまけの時間」の中で出会ったクラスメートは、みんなこちらの世界のクラスメートと同じ人間だったのです。茨と闘いながら、賢はおまけの時間でも、こちらの時間でも、新しい自分を発見していきます。
ふたりのロッテ (岩波少年文庫)

ふたりのロッテ (岩波少年文庫)

さて、新しい自分を発見、といっても、本当に、目の前に、自分そっくりのもう一人の人間が現れたらどうでしょう。夏のキャンプで、そんな、とんでもない体験をした女の子がいます。ルイーゼです。「P16 いまのところ」。そこに、バスがつきました。他の街からのメンバーの到着です。「P15最後に」。ルイーゼは、おさまりません「P21「頭にくるわねえ」)けれど、ルイーゼは気づきました。自分と同じ顔だからってムカついていい? 一人はドイツのミュンヘン、一人はオーストリアのウィーン育ち。でも、二人は仲好くなってお互いの事を話して、大変なことを発見します。ルイーゼには、お父さん。ロッテにはお母さんしかいないのです。そう、二人は、まだ赤ちゃんのころ、両親が離婚したために別々に育ってきた双子だったのです。キャンプが終わるとき、ふたりは決心します。入れ替わって、まだ会ったことがないお母さんとお父さんに会おうと決めたのです。でも、お母さんと二人暮らしてきたロッテは、お料理からなにからバッチリですが、ルイーゼは一度もお料理なんてした事ありません。(p87ルイーゼは料理を作る)。一方ロッテといえば、お父さんの家につくなり、家計簿をチェック! 主婦として鍛えてますので、すぐさま問題に気づきました。(p77)。ところが、家計のチャックならお手のもののロッテも、ピンチに立たされます。なんと、お父さんが再婚をしたいと言い出したのです(P140)。二人は、いつまで秘密を守れるのか? そして、お父さんの再婚問題はどうすればいいのか、『ふたりのロッテ』は、力を合わせて立ち向かいます。
ふたごの兄弟の物語〈上〉 (岩波少年文庫)

ふたごの兄弟の物語〈上〉 (岩波少年文庫)

ロッテとルイーゼは、まじめなしっかりものと、おてんばな行動力のある女の子、という正反対の性格でした。双子だって、別の人間ですからね。いくら見た目が似ていても、性格が似ているとは限りません。この『ふたごの兄弟の物語』のラウレンゾーとジャコモも、見た目はそっくりですが、性格はだいぶ違いました。両親が死んだ後、仕事を探す旅に出た二人は、違う道に進みます。兄さんのラウレンゾーは美しい物を作る金細工師になるのですが、なんと、弟のジャコモは、あやしい男に弟子入りします。(p55)そう、なんとジャコモはどろぼうの弟子になってしまったのです。二人の運命は大きくかわっていきます。でも、ジャコモは、正しいことをしたい、という気持ちを持っていました。その気持ちさえ失わなければ、きっと大丈夫ですよね。
うそつきの天才 (ショート・ストーリーズ)

うそつきの天才 (ショート・ストーリーズ)

でも、世の中には「正直にしなきゃいけないぞ」と思うのに、口を開くとウソばかりこぼれおちてしまうタイプもいます。『うそちきの天才』のウルフがそうです。(p6から、サインの偽造)。そして、考えるより先にウソが飛び出すのです。(p14) さぁ、こんな子は、どうしたらいいと思います。そう、作家になるといいです。実際に、このお話は、作者の子どものころの思い出をヒントにして書いたそうです。でも、どこまで本当かはわかりませんよ、なにしろ『うそつきの天才』なのですからね。うそをつくのは、人間だけ、そう思いませんか? そんなだましたり、うそをついたりする人間に嫌気をさして一人で住んでいた魔法使いがいました。ところが、おしゃべり相手に猫のライオネルに言葉をしゃべれるようにする魔法をかけてあげたところ、ライオネルは、とんでもない願いを口にだすようになったのです。そう、人間になりたいと言い出したのです。最後に紹介するのが、そのライオネルの物語『人間になりたがった猫』です。人間嫌いのご主人は、反対しますが、ライオネルはききません。ついに人間にしてもらいました。でも、姿は人間ですが、中身はネコ! 「お金」がなにかもわかりませんし、言われたことを疑うことも知りません。そんな中で、気がつくと町の人を苦しめるあくどい町長と、勇敢にそれに立ち向かう少女ジリアンの争いに巻き込まれてしまいます。そしてライオネルは、猫だった時には全く知らなかったさまざまな事を知ります。
猫だったライオネルでさえ、自分の中に、新しい自分をみつけました。もうすぐ中学生になるみなさんも、これから、いろいろな自分を、自分の中に見つけることになるでしょう。そんな時の助けに、今日紹介した本を役立ててくれればと思います。